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特集 デザイナー 渡辺仁さんに聞く『内装材としてのアルミ』

ecoms27号で紹介させていただいたO社本社内装工事。2009年2月と2010年2月の2期に分けて行われたこの工事では、SUSの部材が壁や天井に使われました。 われわれも想定していなかった使用方法で、内装材としてのアルミの可能性が大きく広がったように感じています。
今回は、この内装のデザイナーである渡辺仁さん(渡辺明設計事務所)に、内装材としてのアルミについてお話を伺いました。

Q.なぜアルミを内装にお使いになられたのですか?

施主は2008年に起業したばかりの活力にあふれた企業で、これまでにない新しい企業イメージと品格を来客者体験してもらうための内装をデザインしてほしい、という依頼がありました。そこでわれわれがテーマとして考えたのが、空間の3次元的な表現です。

アルミスパンドレルを活用3次元的な表現を可能にする大きな要素として光と影のコントラストがあります。特にエントランスプロムナード部には開口部から太陽光が差し込んできますので、刻々と表情を変えるような素材を考えていました。そこで出会ったのがSUSのアルミスパンドレルです。

SUSのスパンドレルは、単純な曲線の組み合わせではなく絶妙な曲線と直線の組み合わせになっていて影の表情がとても豊か。しかも質感があり、うってつけの材料だと思いました。
もともと横使い用に開発されたものだそうですが、影の美しさの点から縦使いで使っています。
アルミスパンドレルが連続する内装に関しては不安がなかったわけでもありませんが、思った以上の効果を出すことができました。

床はイタリアのバサルティーナ石、幅木は高さ50ミリの硫化仕上げを施したブロンズです。自然素材や職人の手が入った素材を併せることで、工業製品であるアルミを生かすことができたと考えています。

Q.2期工事のボードルームでは、壁ではなく天井にアルミルーバーを用いていますね。

1期工事も2期工事も、3次元的な表現というデザインテーマは変わっていません。しかし、カラーリングや素材の扱いという点では、2期工事の目玉であるボードルームで大きな差別化を図っています。アルミに関しては、壁ではなく天井で用いました。

2期工事のボードルームオフィスが入る高層ビルは、天井高が2.7mと昨今のオフィスビルとしては低く、仕上げによっては"のっぺり"した印象になってしまいます。そのため、SUSのタイ工場アルミガードハウス(ecoms24号)の屋根に使っているものと同じルーバーを天井に使用しました。

雲のようなルーバーさらに、ルーバーの裏側に調光が可能なLED照明を1本1本仕込んで、ルーバーが雲のように軽快に浮いている感じを表現しました。製品単体で見るとかなり曲線がきつい印象もあったのですが、意外に優しく軽やかな印象を醸し出してくれました。

壁には木パネルを用いています。木といっても不燃材料というビルの規制がありますので、エースライトを3次元加工し、突板加工したものです。ここにも職人技の仕上げ加工が施されています。

部屋の中に大きな柱があるのですが、そこも壁と同様に木パネルで仕上げています。まるで大きな木が生えていて、その上部が雲に隠れているようなインテリアになりました。

Q.今回の施工で難しかった点などありますか。

外装材として開発したものを内装材として、また横使いを想定しているところを縦使いに使っているということがあって、取り付けや下地工事は職人さん泣かせでした。
必要以上に気を使わなければいけないために、職人さんは手間暇かけて下地を丁寧につくってくれました。出隅、入隅、特に入り隅には、ほとんど見えないにもかかわらず高級な部材を使っています。そこまでしなくとも取り付けることができるような標準部材の開発が必要だと思います。
下地の部材に関しても同様。今後増えるであろうリノベーションに併せて、アルミ内装材が使われるケースは間違いなく増えます。それに備えるためにも標準部材の開発は急務であり、そのことはコスト低減にもつながると思います。

Q.インテリアデザインにおいて重要なことは何でしょう。

当たり前のことですが、いかにして人間の目線に立って物事を考えられるかではないでしょうか?どのようにしたら住み手や使い手が快適に感じるか、簡単なようで難しいこの課題を常日頃考えています。

オフィス内装今回のオフィス内装工事で、われわれはオフィスという意識より、人が住む場所としての意識において物事を考えました。 例えば、空調設備のサプライとリターンを、壁と天井の取り合い部分に幅50mm、天井面から50mmくぼませたスリットを四周にまわしそこから行うようにしました。住宅であれば設備機器を露骨に見せたりはしませんよね。その気持ちでこのオフィスもデザインしました。
このような小さな積み重ねが1つ1つの作品をつくり出していくのだと思います。
そして、毎回新しいことにチャレンジし続けています。クリエイティブな仕事は生涯勉強なのではないでしょうか。


(※2期工事に関してはecoms30号でも紹介させていただきます。)

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