
「アルミが変えていく生活」をテーマに行われたSUSアルミニウムアワード2008には、日本国内のみならず海外からも優れた作品が多数寄せられ、応募総数は183点にのぼりました。9月30日の応募締切り後、10月2日には厳正な審査が行われ、以下のように受賞作品が決定いたしました。
ご応募いただいた皆様および審査員の方々には、心より感謝申し上げます。
主催:SUS株式会社
岩崎一郎(プロダクトデザイナー)
アルミという素材はその優れた特性や生産性の高さから、アルミ缶やサッシなどの身近なものから航空機の機体まで、実に多用途でわれわれの生活をさまざまな場面で支えてくれる素材です。
一方、その用途があまりに広い分、アルミに対する印象も極端に異なります。使い方や使う場所を間違えると、人の気持ちや環境に対して強い違和感を与えることもあり、性質をよく理解して慎重に使わなければいけない素材の1つです。
最優秀賞の「アルミのタタミ」は、そんなアルミの性質を深く考察した好例といえます。熱伝導率の高いアルミの特性を用いた、夏は冷たく冬は暖かくなるという機能を持たせた床材。ここで、アルミを「板材」のまま用いるのではなく、「線材」にして編んだというところに、この提案の眼目があります。アルミを線材にして編むことによって、板材の持つ均質で冷たい印象を払拭し、柔らかく優しい表情や触感をうまく引き出しています。その冷たく、暖かく、柔らかい、という普段では出しにくいアルミの表情が、今までにない床材としての魅力と可能性を感じさせます。全体としてはいくつかの改善点を孕んでいるものの、私はこの提案は畳に代るものとしてではなく、まったく新しい発想の床材として評価しました。
柴田文江(インダストリアルデザイナー)
それぞれに、素材の特性を生かしたアイデアの中に、アルミの魅力的な表情を映していたと思います。
中でも、最優秀賞の「アルミのタタミ」という作品は、アルミの柔軟さと、熱伝導率の高さをデザイン表現によって見事に伝え切っていました。日本的な畳を、アルミでつくることによって畳の持つ使勝手の良さと現代の生活を結びつける、とても広がりのある提案でした。個人的にもこの作品に出会えたことは、とても感動的で嬉しかったです。
それ以外にも「アルミの氷」は、デザイン表現の完成度が高く、アイデアも現実的で面白いと思いました。「ひらけるいえ」は、プレゼンテーションで表現されている開放感と清清しさがアルミの持つ清涼感とシンクロして、実現化を想像するだけで豊かな気持ちになることができました。
アルミという素材が、クリエイターたちにとても愛されているということを感じることができたコンペでした。
マーク・ダイサム(建築家・デザイナー)
アイデアの幅が広く、簡単なものから複雑なものまで、多様な作品が集まった面白いコンペでした。アルミは柔らかい材料だという認識があります。ですからそのことを生かした提案がないかという視点で作品を拝見させていただきました。
最優秀賞に選ばれた「アルミのタタミ」は、金属であるけれども温かく柔らかい雰囲気があります。アルミのよさを十分に引き出していると思いました。金属を床に使う点も面白いですし、光が当たることで見た目にも新鮮さを感じさせてくれるのではないでしょうか。
優秀賞の「ひらけるいえ」は建築的な提案ですが、夢があると思いました。鉄でも木でもできない、アルミならではの提案です。これは別荘として考案されているようですが、ピクニックに持っていけるような建築と考えても面白いのではないでしょうか。佳作に選ばれた「planter curtain」ですが、都市の緑化、CO2削減に有効だと思いますし、古い建物の前面に軽い緑のスクリーンを設置するという意味において、保存やリニューアルといった面でも可能性があると思いました。
※佳作については1点該当作品なしとし、計4点を選出しました。